そこまで貧乏じゃない

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ふと銀行口座の残高を調べてみると、残り数百円しかない。しかも明細によれば、二度ばかり「緊急補填金」と称された多額のお金が振り込まれており、それでマイナスがプラスに転じているにすぎない。

こんなにお金を使ったっけなと思いながら、緊急補填金について友人に訊ねてみると、それは本当にまずいと言われる。すぐに支払わないとほとんどの所有物が差し押さえられるし、家族や会社にその情報も知らされるのだという。

再度明細を詳しく見てみると、どうやら僕は化粧品に多大なるお金を使ったらしい。そういえば化粧水と乳液を買った記憶がある。確か普通のドラッグストアではなく、銀座の一等地でエルメスやらルイ・ヴィトンやらが並ぶ一角にある高級感に溢れたお店で買ったような気がする。

クレジットカードの引き落としは今日で、しかもその額は明らかに残高を超えているから、もうどうすれば良いのかわからずにテンパってしまう。こんな災いが自分の身に降りかかったことなどどうにも現実のことには思えず、突然冷静になってこれが夢らしきことに気がついた瞬間、ふと目が覚めた。

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今週から、レフ・マノヴィッチの『ニューメディアの言語』を読み進めている。メディア論の新しい古典と称されることもある名著で、最近ちくま学芸文庫から復刊された。 原著は2001年出版。デジタル・メディアがちょうど世界を覆い始めた頃の議論で、新しい文化の形態を理論化したほとんど最初期の著作である。 ただ全く新興の文化を断絶として描き出す本ではない。むしろコンピューターの「画面」を過去の文化——印刷物や映画——との関連性から読み解く議論が展開されている。 本書の中で登場する具体例は2023年に生きるコンピューターに疎い僕にはほとんど馴染みのないもので、いちいち調べないと説明が理解できなかったりもする。その当時の新しさが、今では古さを感じさせるものになっているのは、よくあることだとしても結構面白い。 まだ読んでいる途中なので、特に何かをまとめたりはできない。ただ、誤字を見つけた。23ページの記述で、本当はロトチェンコと書くべきところがトロチェンコになっていた。こういうのに気がついたら、版元にでも伝えるべきなのだろうか。 今後はこのサイトを書籍のまとめを行う場としても使っていきたい。そしてそのまとめを、くだらない記事と連携させていく。ぼんやりと考えていることはこうまとめられるのだが、結局その試みがどうなるかは具体的に書いてみないとわからない。だからその一例として、本書をまずは緻密に読解し、その議論の応用可能性を探っていくのがとりあえず近々の課題になる。ゆくゆくは読書会とかを行いつつ、友人たちにも記事を書いてもらえるような場所にしたい。 昼食で職場近くのビストロでオムライスを食べた。塩麹っぽい味付けの唐揚げがついていて、美味しかった。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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