不便さを祈れ

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暫くぶりのお仕事。

昼過ぎに職場近くの神社に行く。もう5日だというのに、結構な列ができていてびっくりした。僕たちの会社は前に予約をしていたらしく、その列には加わらずに拝殿(と呼ぶのかな?)に入る。ファストパスだ、などと冗談を言ってみたりする。文字に起こしてみるとつまらない。

案内された十五畳くらいの一間には、僕たちの会社を含めて四、五社くらいの会社の人たちもいて、みんなスーツを着ていた。僕たちだけが私服で、まあ浮いていると言うわけではないが、なんとなく場違いな気分になる。ほとんど知らない親戚が亡くなって、僕以外の人たちが皆悲しみを押し隠して近況を語り合っているのに、僕と妹だけはその当人をほとんど知らないから、逆に押し黙ってしまうような感じ。

少しすると順番が回ってきて、賽銭箱の奥のスペースに入る。外から見られていて、一般の人は入れない場所が好きだ。ずっと憧れていた高校なり大学に入って、その学校に憧れている人たちに、アドバイスにもなり得ない些細な日常を語ってみせるような優越。「現実は大したことないよ——」そう語ってみせる僕の口振りは自信に溢れていて、今考えると痛々しいと思うのだけれど、あの快感は忘れがたい。なぜだかそうした記憶は全部冬だ。


仕事終わりにドコモショップに立ち寄り、新しいSIMカードを手に入れる。怠惰なあまりAppleの下取りサービスで送ることのできなかった一個前のiPhoneに差し込むと、ちゃんと電波が繋がる。脱—脱スマホ。とはいえしょっちゅう圏外になるからこのiPhoneを乗り換えたのであって、あんまりまともに使える代物ではない。その不便さが、スマホを触る時間を減らしてくれればいいと願う。

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朝、具沢山のお味噌汁を作ることにハマっている。というのも、最近土井善晴さんの「人生が楽になるお味噌汁の作り方」という動画ばかり見ているのである。 要点をかいつまめば、「お味噌汁には何を入れたっていい」「具沢山にしてしまえばお味噌汁がおかず代わりになる」という内容。余った食材を適当に放り込んでなんとなく味噌を溶かせば十二分に美味しい一食分の食事ができるということで、かなり実践的だ。 とはいえ僕がお味噌汁にハマったのは、アドバイスの有益さというよりも、単にこの動画がめちゃくちゃに魅力的だからである。 昔から色々なところで言っているが、僕はなぜかYouTubeの料理動画に限って、何度も同じ動画を繰り返し視聴してしまう。葉加瀬太郎がペペロンチーノを作っている動画や、粗品がわかたまスープを作っている動画は冗談抜きでもう数百回ずつ見ている。 どうやら僕は今、そのバリエーションとして先のお味噌汁の動画にハマっているらしい。それで冷蔵庫に食材のあるかぎり、朝から十分くらい時間をかけてお味噌汁を作っているのである。具材もたっぷりだから健康にも申し分がない。YouTubeの最も健康的な活用法である。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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