歯軋りの予感

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ちょっと頭が痛い。カフェインを摂取していないせいかなと思い、コーヒーをがぶ飲みしたが、どうも治らない。眼精疲労かしら。目から顎にかけて、筋肉が凝り固まっている感じ。今晩は歯軋りの予感がする。

僕が歯軋り持ちであることを知ったのは、昨年寮で共同生活を営んでいたからだ。ある日同居人に指摘されて、そんなことあるもんか、と思った記憶がある。


渋谷に行った。街全体が平日午前八時の中央線みたいだった。スクランブル交差点で信号待ちをしていたら、近くを歩く同年代の男性三人組の話が耳に入る。

「アメリカはリセットされちゃうから」

なんの話なのだろう。僕の耳には夜の渋谷でその言葉が浮いて聞こえたが、彼らの会話は澱みなく続いていく。


今日も写真を撮り忘れたので、ちょっと前に訪れたテート美術館展の写真。言葉と写真がどんどんずれていく。一周差がつくまであと少し。よくわからないことを言ってしまった。

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ずっと引きこもって作業をしていたので、気分転換をしようと買い物に行く。ちょっと散歩もしたいということで、普段は通らない道とかを通ったりする。 いつも行く駅前のところとは別のスーパーは、やはり品揃えや価格帯も異なっており面白く、ついつい余計な買い物をしてしまう。イタリアンパセリが100円だったのでカゴに入れ、アスパラも安かったので購入。そんなふうに野菜コーナーを物色していると、のらぼう菜という野菜が目に入る。 時折実家でおひたしなどにして食べていたが、自分で買ったことはない。古い記憶を呼び返してみると、ちょっと苦味があって、茎の柔らかい野菜だったような気がする。イメージとしては菜の花に近いが、単に菜の花の記憶がのらぼう菜の記憶を塗り替えているのかもしれない。 これはちょっと試してみたいと思う。しかしそんなに野菜を買ってもすぐには食べきれないし、肉や魚介もカゴに入れた上で再検討すべきだと考え、一度野菜コーナーを離れてベーコンとタコをピックアップし、オリーブオイルやトマト缶などを補充して再び野菜のあるエリアに戻る。 戻った時にはもう決めていた。のらぼう菜を食べてみようと。家にない食材はなんだとか、明日の夕飯をどうしようとか、まあそんなことを考えながら食材を見ていても、頭の片隅にはのらぼう菜のことがずっとあったのだ。 そうして僕は野菜コーナーに並ぶ濃い緑色の野菜をカゴに入れ、レジに向かう。家に帰り、買った食材を冷蔵庫に並べていく。 のらぼう菜だと思っていた野菜は、ほうれん草だった。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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