歯軋りの予感

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ちょっと頭が痛い。カフェインを摂取していないせいかなと思い、コーヒーをがぶ飲みしたが、どうも治らない。眼精疲労かしら。目から顎にかけて、筋肉が凝り固まっている感じ。今晩は歯軋りの予感がする。

僕が歯軋り持ちであることを知ったのは、昨年寮で共同生活を営んでいたからだ。ある日同居人に指摘されて、そんなことあるもんか、と思った記憶がある。


渋谷に行った。街全体が平日午前八時の中央線みたいだった。スクランブル交差点で信号待ちをしていたら、近くを歩く同年代の男性三人組の話が耳に入る。

「アメリカはリセットされちゃうから」

なんの話なのだろう。僕の耳には夜の渋谷でその言葉が浮いて聞こえたが、彼らの会話は澱みなく続いていく。


今日も写真を撮り忘れたので、ちょっと前に訪れたテート美術館展の写真。言葉と写真がどんどんずれていく。一周差がつくまであと少し。よくわからないことを言ってしまった。

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いつもは通らない待ち時間の長い信号で、疾走するトラックの立てる轟音を聞いて、地面がじりじりと振動するのを感じながらひたすらに待つ。 自転車に乗る大学生と思しき四、五人の集団が、ただ一人の歩行者に合わせてゆっくりとよろめきながら近づいてくる。灰色めいたオレンジ色のジャンパーを着た六十歳くらいの男性が、斜めに視線を上げて晴れた空を眺めやっている。制服を着た女子高生のローファーが立てる小気味よい足音が心地良い。 みんな僕の知らない人たちで、今後も関わりを持つことはないだろう。そんな僕たちが広い道路の前で、ひたすらに赤く光り続ける信号機に留められてじっと静止している。 何だか感傷的になっていることを自覚しつつ、確かに信号が青になったことを確認して道路を横断する。僕の前には誰もいない。どうやら歩行者の先頭を任せられているらしい。しかし酔いが回っているせいか、三分の一ばかり進んだところで、まだ赤信号なのではないかという嫌な予感がして、ふと後ろを振り返ると、ついさっき勝手な連帯を覚えた十人ばかりの人たちが僕について歩いている。 もしまだ赤信号だったら責任重大だなと思う。でも振り返って前を向き、ちょっと視線を上げれば青い光が点滅もせずに光っていて、僕はほっと胸を撫で下ろす。 渡り終わって、家の前まで歩いている途中で、彼ら彼女らは僕を信頼して歩いたわけではないことに気がつく。さっさと風呂に入って寝よう。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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