何が揺れているの

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ロラン・バルトについての新書を読みながら、意味を確定せずにキャッチーな言い回しを用いて語る方法についてあれこれと考えていると、どんよりとした眠りが襲ってきてそのままベットに倒れ込み、電気を消して頭の中で色々な単語を頭に浮かべて遊んでみる。

タラバガニ。メメント・モリ。ロール白菜。云々。

するとベッドが揺れ出したような感覚を抱き、次第にその揺動はベッドでなく僕自身によるものであるような気がしてきて、これは困ったなと思ったが、今考えるとあれは本当に地面が揺れていたのかもしれない。それを確かめる方法はいくらでもある。

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MIYASHITA PARKの中に渋谷横丁というフードコートがあって、ちょっとその横を歩いてみる。きれいになった上野というか、画一化されたゴタゴタみたいな趣のある一帯。23時近くだったので閉店準備を進めているお店が多く、飲み会終わりの記念写真を撮っている人たちがたくさんいた。 無数の声が潰れて雑音と化す騒がしさの中で、ふと「死んだ人間の臭いを嗅いでみたい」という言葉が聞こえてくる。驚いて振り返ってみると、どちらかというと静かに飲んでいる男たちの一人が発言したらしい。立ち止まってその会話を聞いてみたかったが、それはあまりに不審だから歩みを止めることはできない。酔っ払いが集まる空間は不思議な言葉で溢れているものだと思う。 横丁の入り口では、まだ未成年くらいの若い男たちが戯れあっている。その彼らに対して「渋谷区は禁煙です」と絶えず繰り返す声を差し向ける大人の姿。その奥はスーツを着た男が倒れ込んで、地面に顔を埋めていた。空間自体は規格化されていようとも結局人が集まればゴタゴタとした混沌がやってくるのだと思うと、世界は捨てたものではないと思う。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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