簡易的な夏休みの終わり

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普段は駅前のスーパーで買い物を済ませるのだが、最近は習慣として日曜日にコメダ珈琲に行っていて、その帰りに駅から少し離れた場所にあるマルエツに寄るのがルーティンみたいになっている。それはいつも夕暮れ時で、食料品を抱え込んでゆっくりと歩いていると、もう食事を作ってちょっと映画を見たり本を読んだりするだけで休日が終わってしまうことに憂鬱を覚え、簡単な夏休みの終わりみたいな気分になる。昨日は冷たい雨が降っていて、その憂鬱に拍車がかかったのかどうしようもなく辛くなり、昔は憂鬱とともにちょっとした愉楽を感じていた休みの終わりが淡白な苦しみでしかなくなってしまった。

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仕事に向かう電車に乗っていると、やけに格好いい六十歳くらいの男性が隣にやってくる。背が高く、短く刈り込んだ白髪は美しい。薄いオレンジ色のジャケットはパリッと仕立てられており、その中に来ている青いシャツも品が良い。 何よりも姿勢が良い。揺れる車内ではほとんどの人がバランスを崩しあたふたと安定感を失うのだが、彼だけは安定した地面に立っているかのように、微動だにすることなくまっすぐと立っている。 どんよりと暗い雰囲気の漂う車内において、この男性の存在感は傑出していた。隣にいる僕が少し緊張してしまうくらいだ。 最寄駅につくと、その男性も電車を降りる。男性は軽やかな手つきで内ポケットから小さな革小物を取り出し、読み取り口にタッチをする。突然小さな震えのような音が響き、ゲートは開かない。残金不足だったらしい。初めて見せたその男性のあたふたとした様子を横目に見つつ、僕は改札をくぐり抜けて仕事に向かう。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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