ちゃんとした勉強

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新しく出た美学の入門書を数日前に読み終えた。

著者はバウムガルテンに関する著作で博士論文を書いた、井奥陽子さん。市民講座の講義をもとにした新書とあって、語り口も柔らかでとても読みやすい。

本書を通して一貫しているのが、美学にまつわる様々な概念が成立する過程を、「AからBへの移行」として捉えている点だ。一つ例を挙げれば、芸術家という概念は「職人から天才」へとその力点が転換したものとされる。芸術家=天才という定式が当たり前になっている現代という時代は、この思想史的な流れを意識することで相対化される。


この本を含め、美学にまつわる入門書を三冊くらい読んでみようと思っている。そのまとめも一つの記事にして公開したい。

しかしこの本にバウムガルテンの名が全く出てこないのにはびっくりした。ど専門を外した、ストイックな著述。なかなか興味深いですね。

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今日も引越しの準備。 壁面に取り付けていた本棚を解体するために、まずはびっしりと詰め込まれた大小様々の本を取り出し、段ボールに入れる。緻密に構成した本の並びを崩さないようにと気を配るが、段ボールに入らないのでは本末転倒ということで、多少の妥協は許容せざるを得ない。持っていくものと実家に置いておくものを仕分けしたかったのだが、手に取る本すべてにそれぞれ異なる愛着なり有用性の香りを嗅ぎ取ってしまい、結局ほとんど全部を段ボールに詰め込んでしまう。 迷った本を三冊ほど。 『堤中納言物語』 古書店に行くと、今後読む可能性とかを考えずに欲しいものをどんどん買ってしまう僕が、その中でも最も読まないと確信している本。新品同然の岩波文庫が100円だったという理由で買った。多分浪人生の頃。古典の勉強になるかもという理由も無理やり付与したが、もちろんそんなことは起こり得るはずもない。置いていく本として分類。 『魅惑のフェロモンレコード』 みうらじゅんがカバーにフェロモンを感じたレコードを紹介する一冊。実家に置いていくのが恥ずかしいという理由で、持っていく本として分類。 『判断力批判』 岩波のやつ。最近美学を勉強していることもあって、この本自体を読むモチベーションは日に日に高まっているのだが、岩波の訳はいまいちだという話をよく聞く。この訳の難解さは、カントが敬遠される理由の一つにもなっているらしい。せっかく買ったのだからと岩波に固執して、三批判書を読まないことになったら悲しい。それに上巻しか持っていないので、置いていく本として分類。 読まない積読本は、あればあるほど正しい。そのことは自明なのだが、多少なりとも諦めを持つことは必要らしい。とはいえ九割くらいの本は持っていくことにした。ワンピースも(全巻揃っているわけではないが)、迷った挙句に持っていく。明らかに本棚のスペースは不足するが、その問題は引っ越しが済んでから解決することにしたい。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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