午後は昼寝をするくらいがちょうどいい

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15時くらいから久々に部屋で映画を見る。

ケリー・ライカートの『ショーイング・アップ』。個展を行う彫刻家の生活をさらりと描いた映画だが、あらゆるショットが生き生きとしている。

主演のミシェル・ウィリアムズのアトリエは雑多なものが(逆説的な言い方になるが)整然と並んでいて清々しく、彼女が働くアート・カレッジは優しい光で満ち溢れていて美しい。特にそのカレッジの屋外で、ダンスの講義を受けている数人が緩やかな運動に身を任せる瞬間の多幸感。

何よりも素晴らしいのはそのラストだ。傷を負って飛ぶことのできなくなった鳩が、ギャラリーの狭い空間を縦横無尽に飛び回る。そして聖愚者めいた兄が黙ってその鳩を外へと解き放つ。こんな奇跡がそこにあれば、別に和解の言葉を口にしなくても、人は再び並んで歩かざるを得ないだろう。


素晴らしい映画だったのだが、途中でガッツリと寝た。15時に視聴を開始して、見終えたのが19時くらい。映画は2時間弱だから、2倍の時間を使って贅沢にこの映画を見たことになる。

昼食後から夕食前までの時間は、これくらいの緩やかさでしか生活できないような感じがある。どんなに気を詰めてパソコンの画面を睨みつけていようと、結局午後という時間は、芝生に寝っ転がってコーヒーでも呑みながらゆっくりと読書をして、太陽を瞼の裏に感じながら午睡にふけるくらいのことしかできないのだろうと思う。

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仕事終わりには結構雪が降っていた。この冬にちゃんと目にした雪はこれが初めてだ。風も強く、ちょっとした吹雪だなと思ったが、「こんなもの雪が降ったうちには入らないよ」だとか「これで吹雪と思ってるとか笑える」とか言ってくる脳内の雪国人が馬鹿にする声が聞こえてくるので、駅から家に帰るまでの道中、シャリシャリと雪の混じった水たまりに足を突っ込もうとも意に介せず、いつもより背筋を伸ばして余裕綽々の表情を取り繕いながら大股で歩く。家に着くや否や浴槽にお湯を張り、それを待つ間ブルブルと震える僕の体を電気ストーブで温めていたら、どうにもその場から離れられなくなり、お湯が少し溢れ出してしまった。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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