昼寝が一番気持ちの良い一日

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一日中涼しかった。こんな日の夕方に昼寝をしたらさぞ気持ちの良いことだろう。そう思って、今日は計画的に昼寝をした。

昼過ぎに『力と交換様式』の読書会を終えると、カーテンを閉めて映画を見る。ベルトリッチの『暗殺の森』。見始めるとすぐに睡魔が襲ってくるので、10分くらいその欲望と戯れつつ、頃合いを見計らってベッドに転がり込む。あえて眼鏡を外さずに、目を閉じる。旅行で見た景色とかをなんとなく瞼の裏側で再生しながら、そのイメージが次第に抽象的な図形に変わっていく感覚を味わう。

いい昼寝だった。だから夜はあまり眠くならない。


風呂場で新しい物語をの断片を妄想してみた。最後の時間稼ぎと称して、バブルの名残が色濃く残る街にやってくる。そこで数十年前からタイムスリップしてきたとしか思えないような派手な若い女と出会う。これは『ティファニーで朝食を』だな、と思う。坂道を走る。浪人生の男と、女子高生のカップルが主人公の家に転がり込む。

なんだかいけそうな気がしている。が、これはなんの話なのだろう。

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いつも通り仕事終わりに最寄りのタリーズで作業をする。寝不足でもちゃんと椅子に座ってパソコンを睨み付けることができるようになったのは、自分の中でも結構大きな変化だ。 思えば学生生活の半分以上は、布団の上で寝転がっていた。リサイクルショップで買った二千円くらいの椅子は背もたれが高すぎて首を後ろにそらすことが出来ず、身体の上半身が常に痛む僕にとってはあまり好ましくない代物だった。というより、その椅子に座るのは苦行だった。社会人になって一日中座っていなければならないことを思うと、暗澹たる気分になった。 それによく考えれば、三回生くらいまで部屋に椅子らしい椅子がなかった。食パンの形をした座椅子と、こたつ机があるだけ。どうしても座りたくなった時は、ベランダに出てエアコンの室外機に腰を下ろすか、便器にお尻をのせて汚れたドアの裏側をじっと見つめるしかなかった。だから通販で安い机を買い、部屋に椅子を導入したときはこれで生産性が千倍くらいになるものだと信じて疑わなかった。 まあそういうわけで、僕は大学の五年間のほとんどを、一枚の汚れた布団の上で過ごしたのだ。最初の方は定期的に干したりもしていたけれど、最後の方は年がら年中部屋の中で僕の汗を吸い込むばかり。随分と申し訳ないことをしたと思う。 そんな布団を、僕は京都を去るときに何の感慨も持たないまま、ゴミ袋に入れて捨てた。45リットルの黄色い袋はパンパンに膨れ上がり、袋を縛るために僕はポリエチレンの紐のような箇所を2倍くらいに引き伸ばした。収集場所に運ぶ途中で袋ははち切れてしまった。あれが僕と布団との最後の対面だったことを思うと、何だかやはり申し訳ない気持ちになる。 寝たきりになるまで、あんなに布団と戯れる時期はもうやってこないのだと思う。どんな高級なマットレスを買おうと、僕はそいつと大人の関係を結ぶほかない。さよなら布団、さよなら僕の退屈な日常。 名古屋で出会ったアメ横の写真。この建物が何の建物であるかは知らない。調べたらわかることを、あえて調べないのもたまには悪くない。日常生活に写真が不足している。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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