ラシーヌって誰や

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いつもより少し長く仕事をした。そういう日は喫茶店に寄らず本屋をぶらつくのが常になっているのだけれど、最近それで本ばかり買っていて出費がかさんでいるのでそのまま家に帰る。

マラマッドの短編集と、『ニューメディアの言語』を今は読んでいる。後者はもう一ヶ月近く読んでいて、ちょっと飽きてきたところ。中盤くらいになると、言葉が上滑りする時期が必ずやってくる。ちょうど今がそれ。あとは読書会で読んでいる『力と交換様式』と『物質と記憶』。ベルクソンはもう一年近く読んでいるのだけれど、なかなか進まない。別に焦る必要なんて何もないし、ゆっくり読むのに最適な本だからそれで構わないと思う。


異常エクセルを作る仕事をしている。結構楽しいのだが、あまり意味のない細部に時間を費やしている気もする。多分仕事ができる人間が見たら、もっと本質的なところに時間を使えと僕を叱るだろう。

同僚は僕のことを気取った文章を書くやつだと思っているらしい。これは悪口。まあその節はあるし、別に構いやしないけれど。それに気取った文章を書いている自覚はある。

鬱蒼と茂る森の中で、すべての倫理的判断を投げ捨て、昨晩あらたに生まれ変わったはずのラシーヌは、瘡蓋のように白い黴がべったりとまとわりついた朽木の背後に、枯れ葉が焦げるような匂いを嗅いだ。

一回生くらいに書いた怪文書の冒頭。ダウンロードフォルダの奥底で眠っていた。あまり記憶はない。厨二病にかかるのが、僕はだいぶ遅かったのだと思う。

洗濯は国民の義務ではない。

二日酔い小説に憧れていたらしい僕が書いた謎の一節。不健康怠惰に憧れる時期が、どうして二十歳前後で訪れるのか。

日記を書くのに困ったら、過去の怪文書を引っ張り出してこようかしら。結構ガチのマジで恥ずかしい文章が思いのほか沢山ある。

ちょっと疲れているので、一旦ゆっくりしよう。じゃないと日記も無意味な引き伸ばしばかりになってしまう。だって今日書いた内容ほとんど書いたもん、ここ二週間で。


ロシアに行った時、毎日のようにビールを飲んでいた。空き瓶を並べて楽しんでいた日を思い返す。

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いつもは通らない待ち時間の長い信号で、疾走するトラックの立てる轟音を聞いて、地面がじりじりと振動するのを感じながらひたすらに待つ。 自転車に乗る大学生と思しき四、五人の集団が、ただ一人の歩行者に合わせてゆっくりとよろめきながら近づいてくる。灰色めいたオレンジ色のジャンパーを着た六十歳くらいの男性が、斜めに視線を上げて晴れた空を眺めやっている。制服を着た女子高生のローファーが立てる小気味よい足音が心地良い。 みんな僕の知らない人たちで、今後も関わりを持つことはないだろう。そんな僕たちが広い道路の前で、ひたすらに赤く光り続ける信号機に留められてじっと静止している。 何だか感傷的になっていることを自覚しつつ、確かに信号が青になったことを確認して道路を横断する。僕の前には誰もいない。どうやら歩行者の先頭を任せられているらしい。しかし酔いが回っているせいか、三分の一ばかり進んだところで、まだ赤信号なのではないかという嫌な予感がして、ふと後ろを振り返ると、ついさっき勝手な連帯を覚えた十人ばかりの人たちが僕について歩いている。 もしまだ赤信号だったら責任重大だなと思う。でも振り返って前を向き、ちょっと視線を上げれば青い光が点滅もせずに光っていて、僕はほっと胸を撫で下ろす。 渡り終わって、家の前まで歩いている途中で、彼ら彼女らは僕を信頼して歩いたわけではないことに気がつく。さっさと風呂に入って寝よう。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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