騒がしさは消えない

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MIYASHITA PARKの中に渋谷横丁というフードコートがあって、ちょっとその横を歩いてみる。きれいになった上野というか、画一化されたゴタゴタみたいな趣のある一帯。23時近くだったので閉店準備を進めているお店が多く、飲み会終わりの記念写真を撮っている人たちがたくさんいた。

無数の声が潰れて雑音と化す騒がしさの中で、ふと「死んだ人間の臭いを嗅いでみたい」という言葉が聞こえてくる。驚いて振り返ってみると、どちらかというと静かに飲んでいる男たちの一人が発言したらしい。立ち止まってその会話を聞いてみたかったが、それはあまりに不審だから歩みを止めることはできない。酔っ払いが集まる空間は不思議な言葉で溢れているものだと思う。

横丁の入り口では、まだ未成年くらいの若い男たちが戯れあっている。その彼らに対して「渋谷区は禁煙です」と絶えず繰り返す声を差し向ける大人の姿。その奥はスーツを着た男が倒れ込んで、地面に顔を埋めていた。空間自体は規格化されていようとも結局人が集まればゴタゴタとした混沌がやってくるのだと思うと、世界は捨てたものではないと思う。

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朝、通勤電車に乗っていると、僕の前に座っている30歳くらいの女性が「幸せってなんだろうね」と呟いた。独り言だったら面白いなと思ったがそういうわけもなく、他人のごとく彼女に目も向けずに押し黙っていた隣の女性が「なんだろうね」と応答し、その静かな会話は立ち消えになる。黙ったまま品川駅で電車から降りる二人の姿を見て、色々な想像を描いてみるが、すぐに電車は職場最寄りの駅に着いてしまい、そんなことがあったこともついの今まで忘れていた。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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