雨の音が重なって

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夜、最近アマプラに入った『十二人の怒れる男』を見ていたら、中盤くらいで激しい通り雨が降る場面があった。とはいえこの映画はほとんど一つの室内で展開される映画であるから、その雨は視覚的に表現されるより先に音として現れ、以降そのザラザラとした雑音が通奏低音のように映画全体の雰囲気を作り上げるのだが、おそらくは映画の中で雨の音が強調されると同時に現実の東東京でも雨が強まり、部屋の外から聞こえてくる重苦しい水しぶきのざわめきが映画の音と奇妙に反響しあって、なんと形容すべきかわからない奇妙な(とはいえ悪くない)視聴環境を作り上げていた。

映画『十二人の怒れる男』の感想・レビュー[40487件] | Filmarks
レビュー数:40487件 / 平均スコア:★★★★4.1点
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MIYASHITA PARKの中に渋谷横丁というフードコートがあって、ちょっとその横を歩いてみる。きれいになった上野というか、画一化されたゴタゴタみたいな趣のある一帯。23時近くだったので閉店準備を進めているお店が多く、飲み会終わりの記念写真を撮っている人たちがたくさんいた。 無数の声が潰れて雑音と化す騒がしさの中で、ふと「死んだ人間の臭いを嗅いでみたい」という言葉が聞こえてくる。驚いて振り返ってみると、どちらかというと静かに飲んでいる男たちの一人が発言したらしい。立ち止まってその会話を聞いてみたかったが、それはあまりに不審だから歩みを止めることはできない。酔っ払いが集まる空間は不思議な言葉で溢れているものだと思う。 横丁の入り口では、まだ未成年くらいの若い男たちが戯れあっている。その彼らに対して「渋谷区は禁煙です」と絶えず繰り返す声を差し向ける大人の姿。その奥はスーツを着た男が倒れ込んで、地面に顔を埋めていた。空間自体は規格化されていようとも結局人が集まればゴタゴタとした混沌がやってくるのだと思うと、世界は捨てたものではないと思う。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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