仕事終わりには結構雪が降っていた。この冬にちゃんと目にした雪はこれが初めてだ。風も強く、ちょっとした吹雪だなと思ったが、「こんなもの雪が降ったうちには入らないよ」だとか「これで吹雪と思ってるとか笑える」とか言ってくる脳内の雪国人が馬鹿にする声が聞こえてくるので、駅から家に帰るまでの道中、シャリシャリと雪の混じった水たまりに足を突っ込もうとも意に介せず、いつもより背筋を伸ばして余裕綽々の表情を取り繕いながら大股で歩く。家に着くや否や浴槽にお湯を張り、それを待つ間ブルブルと震える僕の体を電気ストーブで温めていたら、どうにもその場から離れられなくなり、お湯が少し溢れ出してしまった。
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