逆張りたくない

昼休みに会社の同僚と中華料理屋に行った。ちょっと左京区臭のするごちゃごちゃとした店内で、熊本料理が看板メニューらしい(中華とは?)。

太平燕という料理を頼んでみた。あえて料理名を検索せず、どんなものが出てくるのかを楽しみに待つ。店の片隅にはくまモンがラベルに描かれた焼酎らしきボトルが並んでいる。本業は居酒屋なのだろう。

出てきたのは、ちゃんぽんの麺が春雨になったような料理だった。とてもヘルシー。ただスープは結構濃いめで、リンガーハットのそれよりは心なしか白味がつよい気がした。胡麻豆腐みたいな色。

ご飯を食べながら、逆張りについての話をする。逆張りにもいろんなレベルがあって、一番王道の逆張りは浅野いにお。あとカネコアヤノとはっぴいえんど。

そういう一般的な逆張りでは逆張れない集団というのがあって、そこでは順張りが逆張りの意味を果たす。ワンピースとかミスチルとかバック・トゥ・ザ・フューチャーとかが、「俺でもこういうメジャーなのも好きなんだよね」みたいな斜め上気取りの発言とともに言及される。これを第二次逆張り論争と呼ぶ。

で、フィッシュマンズでもスピルバーグでも(これは前者後者の例。断るまでもないと思うけど)逆張れなかった時、そこでようやく人は真価を試されることになる。ノーランではダンケルクが一番好きだ、みたいに「あえてこの作品選びます」手法で乗り切ることもできるし、神曲読んでますみたいに思いきりクラシックに駆け抜けていくのも一つの手。あるいは「もう好きってどういうことかわからないんだよね」とエセ原理主義者を気取るのもありだし、なんやかんやゾロリが一番、と童心に帰るふりをするのも悪くない。

とまあこんな話をしていたら(ほとんどしてないけど)、昼休みが終わりを迎えてしまって、とても悲しかった。オフィスにとぼとぼと帰り、うまく扱えないWordとExcelとの格闘を始める。今はマイクロソフトが僕の敵だ。マイクロソフトに逆張りをかます方法を教えてください。

ちなみに最近、「数字であそぼ」という漫画を読んでいる。4月くらいに4巻まで読んで、最近5、6巻を読んだ。京大理学部の話で、リアリティがあるかはさておき、知っている景色ばかり出るのでとても懐かしく、辛い気持ちになる。京都に帰りたいね。

退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らずさよなら京都

栗木京子さんの歌。涙出てくる。こんな風に僕もうたえるかしら。

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鼻毛が出ている。 毛先をつまんで引っ張ると、普段は感じることのない箇所が刺激されて楽しい。 野球部だった頃に、鼻毛が出ていると指摘されて恥ずかしい思いをした記憶がある。「別に出てねえし」と強がるほど子供じゃないが、「伸ばしてるんだ」と言えるほど成熟した年頃でもなく、曖昧な返答をしてその場を誤魔化そうとした。 普通ならそれで会話は立ち消えになるはずだが、その時はなぜだか僕の意に反して鼻毛の話題が継続された。するとふと、誰かの口から「イケメン鼻毛出ない説」が提唱された。部員の中で最もかっこいい後輩に話を聞くと、確かに鼻毛を切ったことはないという。 それで僕たちは、部員を一人一人吟味し、あいつは鼻毛が出るか出ないかで徹底討論をした。あいつは本質的には鼻毛が出るタイプだ、あいつの鼻毛は癖毛に違いない、などとよくわからないラベルを貼ってささやかに盛り上がったような気がする。あまりにも野球部の部室の話題すぎて、それを思い出すとちょっと笑ってしまうくらいだが、結構楽しかった。 そんなことを思い出したのだが、もう眠い。無理やり話題を引っ張り出してくるくらい、今日は取り立てて書くに値する出来事が起こらなかったことを思うと、少しばかり虚しい気持ちになる。 鼻毛は明日の朝忘れずに切る。 画像生成AIで、「カンディンスキー 野球」と書いたら生成された写真。野球をやっていたことは、やはり信じられないような気がしてしまう。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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