寒さに慣れる(ふりをする)

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仕事終わりには結構雪が降っていた。この冬にちゃんと目にした雪はこれが初めてだ。風も強く、ちょっとした吹雪だなと思ったが、「こんなもの雪が降ったうちには入らないよ」だとか「これで吹雪と思ってるとか笑える」とか言ってくる脳内の雪国人が馬鹿にする声が聞こえてくるので、駅から家に帰るまでの道中、シャリシャリと雪の混じった水たまりに足を突っ込もうとも意に介せず、いつもより背筋を伸ばして余裕綽々の表情を取り繕いながら大股で歩く。家に着くや否や浴槽にお湯を張り、それを待つ間ブルブルと震える僕の体を電気ストーブで温めていたら、どうにもその場から離れられなくなり、お湯が少し溢れ出してしまった。

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勢いで来週の京都行きを決める。 京都を去ってから一年が経とうとしていて、帰省みたいな感覚で行くのもこれが最後になると思う。 昔から生活のモチベーションのほとんどが、どこどこに住んでみたいという欲求であった。それでようやく東京で一人暮らしをしてみて、じゃあ下北沢だとか、高円寺だとか、そういった街に憧れようとあれこれ手を尽くしてみたが、結局回り回って京都に憧れてしまったのだから、もう一度振り出しに戻る、みたいな感じがある。 ただこの一年は、憧れというよりもホームタウンのような感触で、市バスで出町柳に降り立つと、ああここが僕の居場所だ、とようやく息ができるような嬉しさがあった。でもそれも終わり。 来週以降、僕にとって京都という街は旅行先であり、いつか住んでみたい憧れの土地になる、はず。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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