うたた寝の地点

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カウリスマキの『パラダイスの夕暮れ』を見る。初見のつもりで見始めたら、あらゆるショットがどれも既知のものであるように思え、カウリスマキの映画はどれもこれも似ている、などと雑な結論を下しそうになったが、よくよく記憶を掘り返してみると一年ほど前に途中で寝落ちしてしまったことを思い出す。とはいえどこで眠ってしまったのかは覚えておらず、画面が全くの新しい画面として現れる瞬間を待っていると、じわじわと襲ってくる眠気に抗うこともできずうたた寝をしてしまう。

目を覚まし、シャワーを浴びて再び映画と対面すると、そこに広がっているのは完全に新しい映画であった。一年越しに、同じ映画の同じ地点で眠ってしまったらしい。こういうことはしばしば起きる。

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仕事終わりに寮に住んでいた頃の後輩とお酒を飲んだ。なんとなく神田で、ジンギスカンのお店に入る。 やはり生活の中に談話室が欲しいと思う。たまたま居合わせた友人と喋ったり、自分では絶対に選ばない漫画を読んだりする緩やかな時間が恋しい。それはかつての生活が既に思い出となったから覚える感慨なのかもしれないけれど、やはりその時間を共に過ごした人と再会すると、それだけではないと思う。 そういえば寮のイベントでジンギスカンを食べる会があったのを思い出した。100人くらいの人が集まっていた気がする。火力が弱くてなかなか肉が焼けず、そのくせ腹をすかせた若者が集まっているから、十分で一切れくらいしか食べられなかった。氷水の入ったゴミ箱みたいな大きな水色の入れ物に、ビールやらほろ酔いやらコーラやらの飲み物が浮かんでいて、僕たちはガヤガヤと無意味な会話を無分別に繰り返し続ける。なつかしい。 学生の人間関係は変転を繰り返すから、部外者の僕が記憶の中で固定した相関図はもう現実のものではないのだろう。 いろんな話を聞いた。みんなそれぞれの道で頑張っている。僕も頑張れねばと思うが、仲間が欲しい。偶然生涯の相棒を見つけるようなイベントは、この先僕の身に起こるのだろうか。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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