生暖かい季節

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起床時に感じる痛いくらいの寒さが突然和らぎ、花粉の季節が始まったことを意識せざるをえない。目は痒く、ずっと鼻詰まりだから喉がざらついていて気分が悪い。春は嫌いだ。「生暖かい」という若干の気持ち悪さを含んだ表現は、単に暖かくなったことを言祝ぐだけでないこの感情を的確に表してくれるような気がするが、それはただの穿った見方だろうか。

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杖みたいに長いごぼうが春の食材として売っていたので、思い切って買ってみる。洗いごぼうである。 綺麗に洗われたその根菜は、日焼けした皮膚のようにも見える。実際に手に取ってみると思っていた以上に固く、これが食材であるとは到底思えない。チャンバラでもしてみたいような気持ちになる。 笹掻きにして最近よく作っている豚のあんかけに混ぜ込んでみると、ほんのりと香る土臭さが心地よい。下手くそな包丁さばきのせいで、一部のやけに分厚く切られたごぼうが生煮えになっているが、まあそれくらいは許そうと思う。 最近はこんな風にこれまで調理したことのない食材を買うのが楽しい。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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