そうして僕はいつもより長く眠ってしまう

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平日の生活は結構ルーティン化しているから、いつもより仕事が30分以上長引くとその規則が脅かされた気がしてイライラしてしまう。とはいえその腹立ちをぶつける先はあまりなく(人に当たるのは人間として失格だし、物に当たるとのちのち後悔することは高校生の頃にすでに学んでいる)、夜更かしをして無理やりやるべきこと/やりたいことをこなしてやろうと力んで帰路に着くことになる。まあ呪詛を吐きながら仕事をすることはあるが。

しかし家に帰ってご飯を食べ、風呂に入ってさあいよいよ一日が始まるぞとデスクに着いた瞬間、抗うことのできない睡魔が襲ってくる。許せない。本も読まず、映画も見ず、文章も大して書かずに一日を終えてしまったらそれこそ僕の存在価値なんてものは無くなってしまうような恐れを抱くが、その危機感の度合いに関わらず生理的現象はそれ以上に僕の身体や頭を規定するのであって、無理をして読んでいる本の文字が目を滑っていくのに気がつくと、疲労感と情けなさと明日への期待とともにベッドに倒れ込んで電気を消すのである。

そうして僕はいつもより長く眠ってしまう。

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電車に乗り込むとやけに熱く見つめ合う男女がいたので思わずたじろいでしまい、二人から少し離れた場所に陣をとって本を読む。 金曜日だから本当は映画でも見に行きたかったが、飲酒のせいか前夜はあまりぐっすりと眠れたわけでなく、上映中にうつらうつらする予感がしたのでそのまま帰ることを決める。まあそもそも今はWordPressの改修に熱中しているから、映画を見る気分ではないというのもある。 随分と楽しく(ゆっくりと)読んできた蓮實重彦の『夏目漱石論』だが、今日はなぜだか文章が頭に入ってこない。多分疲れているのだろう。数行読んだだけで読書を断念し、本をコートのポケットに突っ込むとチラチラと周囲を観察する。 視線を横に向けると、背の高い男性が斜め下に真っ直ぐに視線を向けている。その向かいには、男性の視線と一致する角度で斜め上を眺める女性の姿。両者の視線は全くブレることなく、ほとんど完全な直線を描いて空間に固定されている。 この二人は見つめあっているわけではなかった。たまたま向かい合った男女がスマホを眺める視線が一致したというだけなのだ。見下ろすようにしてスマホの画面に集中する男と、スマホを掲げてその画面を凝視する女性。何せ二人はお互いの目を見ているわけではないのだから、恥ずかしい思いなど抱くこともなく、ただ二台の精密機器を介して視線の一致が仮構されているにすぎない。 気が向いた人はこの日記をPCで見てください。面白いよ。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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