さよなら布団、さよなら僕の退屈な日常

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いつも通り仕事終わりに最寄りのタリーズで作業をする。寝不足でもちゃんと椅子に座ってパソコンを睨み付けることができるようになったのは、自分の中でも結構大きな変化だ。

思えば学生生活の半分以上は、布団の上で寝転がっていた。リサイクルショップで買った二千円くらいの椅子は背もたれが高すぎて首を後ろにそらすことが出来ず、身体の上半身が常に痛む僕にとってはあまり好ましくない代物だった。というより、その椅子に座るのは苦行だった。社会人になって一日中座っていなければならないことを思うと、暗澹たる気分になった。

それによく考えれば、三回生くらいまで部屋に椅子らしい椅子がなかった。食パンの形をした座椅子と、こたつ机があるだけ。どうしても座りたくなった時は、ベランダに出てエアコンの室外機に腰を下ろすか、便器にお尻をのせて汚れたドアの裏側をじっと見つめるしかなかった。だから通販で安い机を買い、部屋に椅子を導入したときはこれで生産性が千倍くらいになるものだと信じて疑わなかった。

まあそういうわけで、僕は大学の五年間のほとんどを、一枚の汚れた布団の上で過ごしたのだ。最初の方は定期的に干したりもしていたけれど、最後の方は年がら年中部屋の中で僕の汗を吸い込むばかり。随分と申し訳ないことをしたと思う。

そんな布団を、僕は京都を去るときに何の感慨も持たないまま、ゴミ袋に入れて捨てた。45リットルの黄色い袋はパンパンに膨れ上がり、袋を縛るために僕はポリエチレンの紐のような箇所を2倍くらいに引き伸ばした。収集場所に運ぶ途中で袋ははち切れてしまった。あれが僕と布団との最後の対面だったことを思うと、何だかやはり申し訳ない気持ちになる。

寝たきりになるまで、あんなに布団と戯れる時期はもうやってこないのだと思う。どんな高級なマットレスを買おうと、僕はそいつと大人の関係を結ぶほかない。さよなら布団、さよなら僕の退屈な日常。


名古屋で出会ったアメ横の写真。この建物が何の建物であるかは知らない。調べたらわかることを、あえて調べないのもたまには悪くない。日常生活に写真が不足している。

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写真はロシアの街並み。別に画像なんて用意してなかったから、昔Noteに書くときいつも挿入していたこの画像を貼ってみた。理由は特にない。縦長なのがちょっと嫌。 勢いでWordpressを始めてしまった。始めたからには立派なものにしたいと思う。けれどもそうやって力んでしまうせいで、いつも物事を習慣化できずに二歩目くらいで躓いてばかりなのだ。 というわけで、記念すべきサイトの初日記を、ほとんど何も考えずに書いている。構成なんかをし始めたら明日には日記を書いていないに違いないのだから。 今日の振り返り 今日はAmazonでモニターを購入した。これ。 と、Amazonのリンクを貼ろうとした。よくサイトとかで見る広告(?)みたいな感じに。しかしうまくいかない。調べてみると、どうやらAmazonアソシエイツとやらに登録しなければならないらしい。しかもそれなりに審査は厳しいらしい。 というわけで、モニターについては秘密。いや、秘密にする必要はないから商品名だけ書くと、「Dell S2721QS」というモニターを買った。結構高い。あとで機能不足を感じて買い替えるのが嫌だから買ったわけだが、昔からそうした背伸びばかりしている気がする。まあいいや。このサイトをとっとと最強に育ててAmazonアソシエイツに登録し、アホみたいな広告収入を挙げて元を取ってやる、と十二分の大人が夢想したところでこの話は終わり。 で、今日はモニターを選ぶのにだいぶ時間をかけて、気がつけば午前を溶かした。とはいえ三連休初日二日目の溶かし方は尋常でなかったので、まだマシ。そう、今日は三連休の最終日。明日は仕事だし、これを書いている今はもう23時近くで本当に鬱。風呂もまだ入っていない。 午後は友人と柄谷行人の『力と交換様式』を読む。読書会自体はまだ二回目で、少しずつ要領をつかんできたかな、というところ。これについては真面目に他で書く。交換様式Dは、交換様式Aの高次元の回復である。とは。まあ結構説明が繰り返しだったりして読みやすいとはいえないけど、面白い。読書会じゃないと読みきれていなかったと思う(まだ第一章を読み始めたばかりなのだけれど)。 で、飽きてWordpressを調べたりいじって遊んでいたら、もう夜。暗。明日仕事嫌だなあ。 本当はこの三連休で、論文執筆を前に進めなければいけなかったのだけれど。まあ、よしとしよう。頑張ろうね。明日は川上未映子の『夏物語』を読む。ジメジメした夏ですね。 【追記】貼れた。けどなんかおかしいので、ちょっと調べてみます。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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