そうして僕はいつもより長く眠ってしまう

article

平日の生活は結構ルーティン化しているから、いつもより仕事が30分以上長引くとその規則が脅かされた気がしてイライラしてしまう。とはいえその腹立ちをぶつける先はあまりなく(人に当たるのは人間として失格だし、物に当たるとのちのち後悔することは高校生の頃にすでに学んでいる)、夜更かしをして無理やりやるべきこと/やりたいことをこなしてやろうと力んで帰路に着くことになる。まあ呪詛を吐きながら仕事をすることはあるが。

しかし家に帰ってご飯を食べ、風呂に入ってさあいよいよ一日が始まるぞとデスクに着いた瞬間、抗うことのできない睡魔が襲ってくる。許せない。本も読まず、映画も見ず、文章も大して書かずに一日を終えてしまったらそれこそ僕の存在価値なんてものは無くなってしまうような恐れを抱くが、その危機感の度合いに関わらず生理的現象はそれ以上に僕の身体や頭を規定するのであって、無理をして読んでいる本の文字が目を滑っていくのに気がつくと、疲労感と情けなさと明日への期待とともにベッドに倒れ込んで電気を消すのである。

そうして僕はいつもより長く眠ってしまう。

article
ランダム記事
飲み会でしこたまの手前くらいまでお酒を飲んで気持ちよく家に帰り、風呂に入らなければならないがその気力も湧かぬままベッドに倒れ込んだ翌朝、目覚めのシャワーを浴びて髪を乾かしていると心地よく襲ってくる睡眠不足に身体を預けてそのまま二度寝をする——そんな幸福を思い描きながら出勤の準備をする。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

コメント

タイトルとURLをコピーしました