走馬灯の気分は伝染する

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夕飯も風呂も歯磨きも全て終えてあとは寝るだけの状況を作ってベッドの上で寝転んで本を読んでいると、台所上に設置された蛍光灯がつけっぱなしになっていることに気がつく。こういうところから節約の意識を高めていかなければならないと思うが、珍しくもせっかく読書に集中できているので立ち上がる気が起こらない。

しかしそのことに気がついてしまったが最後、文章を追う僕の目は滑るばかり。こうも簡単に集中が途切れてしまう僕の散漫癖に辟易としながらも、とはいえ横臥の姿勢を崩すのはやはり面倒で、ついつい手元にあるスマホをいじってしまう。

こうなってしまったら読書は諦めて眠りにつくのが一番だが、とはいえ立ち上がって電気を消す必要がある。とりあえずスマホを充電ケーブルに差し込み、目覚ましをセットする。白々しく光る蛍光灯のをじっと眺めやりながら、ありもしない尿意を捏造して立ち上がる理由を拵える。

今まで散々電気を無駄遣いしてきたなと思う。今みたいに「立ち上がるのがめんどくさい」ならまだわかるが、ひどい時には「紐に手を伸ばすのがめんどくさい」という理由で何時間も明かりを消さなかったこともある。怠慢な自分を変えていくには、日常生活の些細な細部を決別の儀式とみなして行動するほかないだろう。

そんなことをだらだらと考えていると、鈍いうめき声のような音が聞こえてくる。音はただちに水滴がポトリと落ちるような可愛らしい響きへと変わり、その小気味良いリズムに導かれて向けられた視線の先で、蛍光灯が点滅していた。

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仕事終わりはやっぱり疲れていて、朝とは異なり座って帰路につくのだけれど、なかなか本を読んだりする気力が湧かずにスマホばかりいじってしまう。 これはあまり良くないぞ、ということで、今日の帰りは漫画を読もうと思う。しかし手元にはなく、東京駅の丸善に寄って漫画を買う。 数字であそぼの七巻を手に取る。すると購買意欲がむくむくと沸き立ってきて、これ描いて死ねとドリフターズの新刊も抱え込んでしまう。三冊も漫画を買って、その中に新しい作品がないのも保守的だよな、と自分勝手な言い訳をこしらえて、アンダーカレントという漫画にも手を出す。僕は漫画に疎いから、今度実写化されるという情報しか持っていない。面白いといいな。 今週末は京都。くるりの京都音楽博覧会を見にいく、というのが一応の口実。会いたい友達はたくさんいるのだけれど、わずか三日の間に誰に会うべきか、みたいなことを考えたくなくて、あんまり人を誘うことができない。 それに京都から帰ってくる時のことを考えると、この時点で少し憂鬱になってしまう。なんてややこしい人間なんだろうね、僕は。 とはいえ、もちろん楽しみ。かなり楽しみ。あと村屋に行きたい。やはり東京に村屋は存在しない。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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