ずっと吐きそうだ

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土曜の夜から高大の友人が泊まりにくる。半日以上かけてバイクで京都から東京に来たというのに、一泊だけしたら京都に戻らないといけないらしい。この無軌道さはずっと変わらないが、話を聞くと流石に当初の予定というわけでないらしい。急に生えてきたのっぴきならない事情らしく、ちょっと可哀想にも思えた。

その彼と上野に行って中尊寺展に行ったのだが、電車に乗っている最中から軽い吐き気に襲われて苦しくなる。前々日の飲み会で弱った胃にカツカレーをぶち込んだのが間違いだったのかもしれない。胃もたれが何なのか未だ正確に把握していないが、状況からするとこの気持ち悪さを人は胃もたれと呼ぶのだろう。

仏像を仰ぎ見るふりをして、涼しい展示室の中でしゃがみ込む。「これはあくまで熱心な観察ですよ」と示すべく、定期的にその位置を変えて腹の不調と格闘する。その実仏像の姿形などほとんど捉えられていない。

そんな格闘も功を奏さず、歩いているのもしんどくなったので一人で家に帰る。

そういえば昔京都に観光しに来た友人を案内していて、同じような吐き気に襲われて途中で帰ったことがあったことを思い出す。その友人の結婚式に今度行くことをぼんやりと頭に浮かべながら、俺はいつまでも吐き気に襲われているのだろうと思う。

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ずっと引きこもって作業をしていたので、気分転換をしようと買い物に行く。ちょっと散歩もしたいということで、普段は通らない道とかを通ったりする。 いつも行く駅前のところとは別のスーパーは、やはり品揃えや価格帯も異なっており面白く、ついつい余計な買い物をしてしまう。イタリアンパセリが100円だったのでカゴに入れ、アスパラも安かったので購入。そんなふうに野菜コーナーを物色していると、のらぼう菜という野菜が目に入る。 時折実家でおひたしなどにして食べていたが、自分で買ったことはない。古い記憶を呼び返してみると、ちょっと苦味があって、茎の柔らかい野菜だったような気がする。イメージとしては菜の花に近いが、単に菜の花の記憶がのらぼう菜の記憶を塗り替えているのかもしれない。 これはちょっと試してみたいと思う。しかしそんなに野菜を買ってもすぐには食べきれないし、肉や魚介もカゴに入れた上で再検討すべきだと考え、一度野菜コーナーを離れてベーコンとタコをピックアップし、オリーブオイルやトマト缶などを補充して再び野菜のあるエリアに戻る。 戻った時にはもう決めていた。のらぼう菜を食べてみようと。家にない食材はなんだとか、明日の夕飯をどうしようとか、まあそんなことを考えながら食材を見ていても、頭の片隅にはのらぼう菜のことがずっとあったのだ。 そうして僕は野菜コーナーに並ぶ濃い緑色の野菜をカゴに入れ、レジに向かう。家に帰り、買った食材を冷蔵庫に並べていく。 のらぼう菜だと思っていた野菜は、ほうれん草だった。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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