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正しいバスに乗り込む

どうしてももう帰路につかねばならない時間になり、最後の抵抗をやめて友人とともにトボトボとバス停へと向かい、京都駅へと向かう206番のバスを待つ。マルシン飯店に並ぶ十数人を視界の片隅におさめながら、明日からの労働やら東京での生活やらを思ってひ...
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通った店の限定メニューを選べないということ

京都で一人暮らしをしていた頃によく行ったラーメン屋を訪れると、券売機のところで二人組の男女が楽しげに声を掛け合ってラーメンを選んでいる。おそらくは職場の先輩後輩で、最近付き合い始めたばかりという感じ。女性の明るい笑顔が眩しい。えー、どれにし...
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エプロンを畳めない

職場の人とジンギスカン屋に行く。そこではこんもりとした山型の鉄鍋に羊肉ともやしが載っているタイプのジンギスカンではなく、鉄網で羊肉を焼いていくスタイルの料理が提供されている。まあそれは焼肉というほかない料理で、ちょっと癖のある脂の旨みが香ば...
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雨の音が重なって

夜、最近アマプラに入った『十二人の怒れる男』を見ていたら、中盤くらいで激しい通り雨が降る場面があった。とはいえこの映画はほとんど一つの室内で展開される映画であるから、その雨は視覚的に表現されるより先に音として現れ、以降そのザラザラとした雑音...
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鰻に近づいた夜

仕事が終わってもムカムカがどうにも収まらず、心穏やかでないまま帰路に着く。この帰り道に読もうと楽しみにしていた『違国日記』の四巻を開く気分にもなれず、だらだらとスマホを眺めて電車に乗っていると、ちょうど閉まったばかりのドア上に最寄駅の名前が...
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すべての夜を思いだす

ユーロスペースで『すべての夜を思いだす』を見る。監督の清原惟さんは何年も前から名前だけを知っていて、いつか見たいなあと思いながらもその機会がなかなか巡って来ず、ようやく新作が劇場でかかることを聞いてずっと楽しみにしていた。多摩ニュータウンで...
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感傷的でだめ

勢いで来週の京都行きを決める。京都を去ってから一年が経とうとしていて、帰省みたいな感覚で行くのもこれが最後になると思う。昔から生活のモチベーションのほとんどが、どこどこに住んでみたいという欲求であった。それでようやく東京で一人暮らしをしてみ...
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花粉が飛んでいても外に出た方が良い

リモートで仕事をしていると一日中部屋から出ることがないので、生活の中で何かに気がつく感度のようなものがほとんど極限まで低下してしまう感じがある。こうしていざ日記を書こうとパソコンを睨みつけてみても、昨日の記憶はひどくのっぺりとしていて、確か...
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綿棒の居場所

帰り道、駅前のドラッグストアで綿棒を買う。つい一ヶ月ほど前に開店したばかりのこの店は、一度シャンプーを買いに行っただけで店内をこまめに物色したことはない。ドラッグストアの面積としてはかなり小さめで、通路は狭くそのくせシャンプーの種類は多いか...
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春は憂鬱

いつも通り職場で昼食を食べた後、あたりを気ままに散歩する。朝は痛いほどに冷たかった風も比較的ましになっていて、確かに少し寒いが食後の眠気を覚ますにはちょうど良い心地よさ。十分ほど歩いてさあ仕事を再開するかと席についてパソコンを開くと、薄々わ...