映画についての覚え書き

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夕方から渋谷に濱口竜介の『悪は存在しない』を見に行く。

最近それなりの頻度で渋谷に行っているので、大体の出口にはパッといけるようになっていたのだが、上映時間十五分前に駅に着いたこの日に限って迷ってしまう。改修途中の構内は思わぬところで曲がっているし、高架では降りたいところで降りることができない。結局出口から駅を大きくぐるっと一回りしてようやく目当てのスクランブル交差点に到達し、慌ててエレベーターに乗り込む。


映画は面白かった。ちょっと理屈っぽいところもあるような気がするけれど、それはともかくとして面白かった。序盤と終盤はかなり画面構成が凝っていて、たとえば薪割りをする主人公を捉えたロングショットで、その脇に置かれた赤いチェーンソーが引き締める画面のすばらしさ。

以下メモ書き。いずれじっくりとこの作品について書けたらいいと思う。

  • 四幕構成
  • 一幕目の画面が四幕目で繰り返されること→サスペンス!
  • 車内の会話は相変わらず抜群に上手い
  • 崇高(いうまでもない気がするし、理屈っぽさの原因でもある気がするが)
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MIYASHITA PARKの中に渋谷横丁というフードコートがあって、ちょっとその横を歩いてみる。きれいになった上野というか、画一化されたゴタゴタみたいな趣のある一帯。23時近くだったので閉店準備を進めているお店が多く、飲み会終わりの記念写真を撮っている人たちがたくさんいた。 無数の声が潰れて雑音と化す騒がしさの中で、ふと「死んだ人間の臭いを嗅いでみたい」という言葉が聞こえてくる。驚いて振り返ってみると、どちらかというと静かに飲んでいる男たちの一人が発言したらしい。立ち止まってその会話を聞いてみたかったが、それはあまりに不審だから歩みを止めることはできない。酔っ払いが集まる空間は不思議な言葉で溢れているものだと思う。 横丁の入り口では、まだ未成年くらいの若い男たちが戯れあっている。その彼らに対して「渋谷区は禁煙です」と絶えず繰り返す声を差し向ける大人の姿。その奥はスーツを着た男が倒れ込んで、地面に顔を埋めていた。空間自体は規格化されていようとも結局人が集まればゴタゴタとした混沌がやってくるのだと思うと、世界は捨てたものではないと思う。
山口宗忠|Yamaguchi Munetada

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